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斎藤邸(仮名)は京浜急行の主要ターミナルから徒歩6分の所にある。街は古い。駅周辺は商店街が栄え、買い物には不自由しない。 斎藤邸は、約130坪の敷地に、建坪にして約55坪の木造住宅として住み継がれている。竣工は昭和5年。今年で築77年になる。 現在、この家を守るのは、斎藤家に嫁いできた智津子さん(78歳)と長男の浩さん(49歳)。先祖は武家の一家だそうだ。浩さんで4代目。正確に言うと、いまの斎藤邸は昭和5年に建替えた家だが、この土地には初代から住み続けている。

斎藤邸はいまから10年ほど前に大規模なリフォームを実施した。リフォームは地元の一級建築士に依頼。既存のものを活かしながらの大規模修繕となった。 智津子さんはこの家に嫁いだ時から「こんな大きな家を建替えるのは、費用がかかるので難しいだろうと。だから、いずれ大幅な手直しが必要になると思っていました」という。家だけのためにという訳ではないが、嫁いでから、すぐに貯蓄を始めた。 長男の浩さんは社会人になった際、智津子さんの要望もあり、給与の一定額を家の改修費のために貯蓄するよう取り決めた。 「長男という意識もあってか、この約束はきちんと守ってくれた」と智津子さんは話す。「私どもの場合は住宅ローンを抱える負担はありませんでした。でも家を維持するには費用がかかります。その財布は分けておかないと、いざという時に困りますよ」。

10年ほど前に大規模なリフォームを決断したのは、庭に続く外廊下の窓が開かなくなったのがきっかけ。木枠が反り、隙間が多く、風が吹くとテレビの音すら聞こえにくくなった。開閉にはコツがあり、智津子さんしか開け閉めできない窓が、とうとう智津子さんの手にも負えなくなった。 リフォーム資金も目途がついていたため、思い切って、昭和5年当時から変わっていない台所やトイレなども含め、改修を決断した。 ただ、家を見てもらったところ、予想外の事実が判明した。庭に隣接する家の一角が、シロアリ被害にあっていたのだ。 そこはちょうど、長男の浩さんが生まれた頃から使っている部屋の柱と梁。この一角は柱と梁の交換も含め、抜本的なリフォームとなった。

壁をはがした当初の写真をみせてもらうと、かなりの時間を経て、シロアリが「おいしい思い」をした様子がうかがえる。浩さんによるといつの日からか「地震があると以前よりも揺れを感じるようになった」そうだが、それでも大きな地震被害に至らなかった理由は散見できる。 リフォームをした建築士の話によると、浩さんの部屋の一つの壁には全面的に筋かいが入っていたが、その仕事は築70年以上経っても寸分のズレもない見事な仕事だったという。 また、浩さん部屋を取り囲むようにしてつくられたモルタルの外壁も、長らくこの家を守ってきたと指摘された。この外壁が、風雨による劣化を防いできた、ということらしい。 モルタル外壁は昭和5年の竣工以来、一度もいじったことがない。リフォーム直前の写真を見せてもらった限りでも、大きなクラックなどは入っている様子はなかった。 ちなみに、斎藤邸は周囲に比べて小高いところにある。智津子さんが聞いたところによると、建て替え前の家は関東大震災にあったものの、「ビクともしなかった」という。地盤の良さも影響しているに違いない。





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