|
![]()
関邸は伊豆半島の先端に近い静岡県賀茂郡南伊豆町にある。背後を山に囲まれた海辺の小さな町だ。 人影は少なく、過疎化が静かに進んでいる。しかし春先のこの時期、海はひねもすのどかで、山々は桜で彩られる。 関邸でも格子の木戸をくぐると真っ先に目に飛び込んで来るのが満開の桜だった。 先に進むと庭には他にも春の草花が咲き乱れている。そんな草木に囲まれて、200年を経過するという家はむしろひっそりと佇んでいた。
江戸時代、明和2年頃の建築きちんとした記録が残っているわけではないが、この家が建てられたのは、江戸時代の明和2年(1765年)頃だという。代々の名主で、1781年の天明の大飢饉の頃には、加茂郡一体を治めていたとされる。約700坪の土地に建築面積129・44平方bの平屋建てである。 関さんが先代である奥さんの父親に代わってこの家に住むようになったのは昭和60年のことだ。元々この土地の出身だったが、それまでは東京で暮らしていた。先代が他界して数年後、関さんは定年退職を機に故郷へ戻る決心をしたのだ。それから20年以上を奥さんと2人でこの家で過ごしてきた。現在84歳になる。 関さんはこの家へ越してきてすぐに、大きな改修工事を行った。まず、縁側の庇の梁が壊れていたので新しくした。これには8間(約14・5b)ある杉の丸太をそのまま通した。 また、縁側などはそれまで木製のガラス戸だったが、アルミ製のサッシに交換している。外壁も木板からモルタル壁に変えた。 「消防法上、モルタル壁にせざるを得なかったんです」と関さんは言う。そこで改修の際、壁の一部を伊豆地方で伝統的に用いられてきた「なまこ壁」にした。 「なまこ壁」は白と黒の碁盤目が斜めに交差する独特の外壁様式だ。漆喰を盛り上げるように塗るため、なまこに似ているところから「なまこ壁」と言われるようになった。 瓦を使っているので火事に強いという特性もある。 たまたま畳を打ち直していたこともあり、床下も見せてもらうことができた。太い柱を支える土台は堅く長持ちする椎の木が使われている。基礎は石だった。 今はコンクリートで基礎の周りを固め、換気設備を入れて乾燥状態を保っている。
|
| Copyright 2008 SOHJUSHA KK. All Rights Reserved. |